新入生からみたモノづくりサークルにおける新入生教育

初めに

 本記事は学ロボアドベントカレンダーの二十二日目の記事となります。adventar.org

 

 

 初めまして。東北大学T-semiのB1、よしと申します。

 特筆すべき経歴もないですが、一応中学高校の時、ロボコンというかものづくりの部活所属していました。現在進行形ではありますが、関東春ロボコンにチームリーダー兼ソフト (組み込み等) 兼操縦担当とNHKロボコン2023の機構兼操縦を担うことになっています。

 今回のアドベントカレンダーで数少ない (おそらく唯一) のB1であるため、B1ならではの内容を書けたらと思い、今年の弊サークルでの新入生教育の事例をテーマにすることに決めました。かなり主観的になってしまう可能性が高いことと、特定の人物を攻撃する意図はないことに留意していただきたいです。

きっかけ

 まず、結果から言いますと、弊サークルの今年の新入生教育は失敗していると言っていいと思います。その根拠は

  • 入部登録している部員が全然部室に来ない (幽霊部員が約50%)
  • 新入部員の前期の活動が明らかに少ない

の2点です。さらに言えば、春ロボコンのメンバーの募集がなければアクティブな新入部員は3人 (/15人)になってしまっていたかもしれません。

 1点目は現在の状況です。2点目は、1人例外がいますが (高専生) 、私を含めて新入生のほとんどが新入生教育の題材 (後述) に取り組んだだけだったと思います 。

 このような状況が皆様のサークルでもあるのかは正直疑問ですが、私自身の備忘録と、皆様のサークルの来年度以降の新入生教育等で参考になれば幸いです。

 

実際に行われたことと問題点

講習会について

 弊サークルの新入生教育では以下の5講座を開催し、新入生に参加してもらう方法をとっていました。

  1. Fusion 360 講習
  2. 回路講習 (非安定マルチバイブレータの作成)
  3. ソフト講習 (arduinoで7セグLEDの制御)
  4. ライントレーサー講習
  5. 機械加工安全講習

 1、2、 3はガワ、回路、ソフトそれぞれの第一歩としての講習で、4のライントレーサー講習は1、2、3で学んだことを踏まえてライントレーサーを作ってみようというものです。5の機械加工安全講習は、部室にある卓上旋盤、卓上フライス、ボール盤の使い方の説明会という感じだったと思いますが、私は受けていません。というのも、学内に工作施設があり、そこでプロの方から教わることができるので、先輩からそちらを優先するように言われたからです。これに関しては堅実な判断だと思います。

 実は私は1、3、4も受けていません。先輩に「やったことがあるなら大したことやらないからやらなくていいよ」と言われたからです。まずこれが一つ目の失敗だったと思っています。4のライントレーサーは突き詰めれば様々な技術を盛り込むことができます (ライントレーサーに限らないですが) 。したがって、何度かやったことがあるというだけで、もうやる必要がないといえるようなものではないと思います。確かに、指導員の指導可能な範囲を超えてしまう可能性もありますが、経験者なら自分で調べて解決することもできるだろうし、何より、他の新入部員に刺激を与える存在になるのではないでしょうか。

 今年度のもう一つの失敗は期間についてです。新歓が5月中に終わり、そこから新入生講習が始まっていたのですが、10月末の学際の時までにライントレーサーを形にしたのは2人だけでした。ここで言及したいのは5月から10月まで新入生教育を行っている点です。運営側がしっかりと期限を決めなかったために期限がだらだらと伸びていました。前期の期末前、遅くとも夏休み中には終わらせるべきだったのではないでしょうか。とはいえ、これに関しては、新歓の計画性がなかっただけでなく、昨年度の引継ぎが3月ごろにあったようで、時期が悪かったみたいなので、仕方なかったのかもしれません。来年度に関しては引継ぎが完了しているので、サークル運営を言い訳にすることはできませんね!

その他新入生へのアプローチについて

 私たちのようにたくさんの人が集まって団体を形成し、何か活動を行うことのメリットは

  1. 個人では成しえないことを行うことができる
  2. ノウハウを授かることができる
  3. 設備を共有することで個人の負担がとても小さくなる

の3点が大きいと思っています。

 1つ目は私たちのサークルでは主にロボコン出場になると思います。個人で出場できるロボコン、ロボット競技会となると実力にもよりますが、選択肢が限られます。そこで、団体に所属して仲間を見つけ、メンバーを集めて大きなプロジェクトを動かすことになるでしょう。しかし、そもそも、どういったロボコンがあるのか知らなければ出場することはできません。つまり、ロボコン関係の情報収集をしなければならないということです。Twitterをやれということです。ロボコンの開催情報だけでなく、FAフェスや、各団体、個人の技術関連のツイートなどロボコンで役に立つことはとても多いので、私はTwitterを見るべきと思っています。決して私がツイ廃だからではありません。

 2つ目は私たちのような弱小チームでは大きなメリットにはならないですが、それでも何もやったことのない新入生にとっては重要です。もちろんインターネット等で調べて勉強することも重要です。しかし、ガワならどうやって設計を進めるのか、機構の評価はどうするのか、回路ならどうやってデータシートを読むのか、ソフトなら...という風に完成品では現れないような部分も多々あります。このような完成までの軌跡をしっかりと新入生に見てもらうことも重要です。しかし、特にパソコンを使う作業 (CAD、回路設計、ソフト全般等々) をするとなると、家に籠って行う方も多いと思います。確かに家の環境のほうが快適ですもんね。わかります。でもそこをちょっと頑張って、部室で作業すれば、新入生が見て学ぶいい機会になると思います。

 特に3つ目に関しては私たちのようなものづくりサークルでは顕著でしょう。ここでいう設備は工作機械や工具だけでなく、モーターやギア、電子部品なども含みます。しかし、私たちのサークルの部室は当時、お世辞にもきれいといえる状況ではなく、もはやゴミ屋敷といってもいいレベルだったようです。そうなると、部室に何があるのか把握するのも難しくなり、団体に所属して活動することのメリットも小さくなってしまいます。したがって、新入生が備品の所在を把握しやすくなるようにすることも大事だと思います。備品管理を徹底し、だれが見てもどこに何があるのかわかる状態にすることが理想ではありますが、新入生が備品の場所を覚えられるように、何らかの機会をしっかり設けることも一つだと思います。私は部室の片づけを通じてある程度どこに何があるかを把握しましたので、忍びないですが、新入生に片づけをやってもらうというのも一つかもしれませんね。

 

まとめ

 私たちのサークルでは様々な点で新入生の受け入れに失敗していました。本記事でその事例を紹介しましたので皆様の団体で私たちの二の舞を演じることにならないようにしてください。

 話はそれますが、この記事を入れて四日間連続、25日のトリまでT-semiのメンバーが担当する予定になっていますね (12/21日現在)。最後の人がちゃんと25日中に記事を公開できることを切に願って、この記事を終わりにしようと思います。

 長々と駄文に付き合っていただきありがとうございました。